2017/06/11

西新宿。あるいは角筈村十二社、あるいは新宿区十二社

朝、十二社の「味陶庵志奈川」に集合。
ここの品川さんが十二社の昔話を聞かせてくれ、近所を案内してくれるというのである。ちょっとしたマニアックな、
でも錚々たるメンバーによるちいさな集まり。

西新宿。
都庁の西に新宿中央公園や熊野神社があり、
その西に十二社がある。
十二社と書いて「じゅうにそう」と読む。
もともと「十二所権現」だったのが、徐々に「じゅうにしゃ」→「じゅうにそう」に読みが変わっていったんじゃないか的なアレだ。
江戸名所図会にはすでに「世人、誤って十二そうといふ」とある。

左が大正時代。右が今。
大正時代の池はそれに沿った道路と熊野神社だけを残して見事に消えた。

かつて熊野神社の西には池が2つあった。
北の池が下の池、南の大きな池が上の池。
南の池がちょうど谷頭からの湧き水でできていて、
江戸時代初期にせき止めて作ったといわれている。
この池は江戸時代は熊野神社とともに行楽地として
明治から昭和は遊興地として栄えた。
船にはボートや屋形船が出て、
池の西側に料亭では池を観ながら飲食などを楽しめ、
池の南東には桜山、その南には梅園があるという具合。

池は高度成長期になるとどんどん縮小され、
やがて土地が売られ、埋め立てられ、ビルやマンションになった。

そんな十二社で古くから飲食店を営んでいる品川さんに
往年の十二社の姿を伺いつつ、
当時の名残を残す建物を案内してもらおうという企画だ。

お店で昔の地図や写真を見ながら
当時この辺りに店があってこのあたりに見番があり、
その上は高級住宅街で昔は別荘地で、という話を伺い、
散策へ。

池はなくなったが地形は残っている。

タワーマンションと稲荷。マンションができて稲荷がここに遷されたそうな。
EX-ZR4000の超広角はこういうときによい。
案内してくれる品川さん。谷地だったので短くて急な坂がたくさんある。
この塀は当時の名残。置屋さんだかなんかだったらしい。

説明を聞きながら写真を撮る面々。
谷と谷の間の狭い尾根に。
かつての池に降りる階段を下から。風情のある古階段である。
NTTの電柱番号。三業地だったためか、電柱にも三業支線とある。
この玄関も当時の名残。旅館?
スリバチ仲間。かつて池だった谷地がよくわかる。奥に見えているのは熊野神社の森。
かつて連れ込み旅館だった一直。今はシェアハウスだとか。
こちらは民泊。歩いている狭い路地はおそらく暗渠。池からの水が神田川に流れていた。
シェアハウスや民泊。当時の建物を活かすにはよい選択かと思う。
新宿からは離れるが、大江戸線の西新宿五丁目駅なら近く立地もよい。

そしてまた味陶庵志奈川に戻り、
熊野神社の裏話やら、成子天神の話やら
やはり我々がいくら文献にあたり、往時を想像しながら歩いても
地元に古くから住んでいる人のリアルな話には叶わないわけで
非常に興味深い話を聞かせていただいた。
ありがとうございました。
ああ、今回伺った話を、神社散歩本にも反映させたかったなあ。
一応十二社の熊野神社と成子天神も取り上げているので。

今回のカメラは
超広角の写真はカシオのZR4000。
そうじゃないのは富士のX-T2。

Xマウントの16-80mm F2.8-4.0(要するに14-120mm相当のレンズ)、出ないかなあ。
こういうときにありがたい。


0 件のコメント: