2013/12/06

[読書]追悼堤清二ってことで「ポスト消費社会のゆくえ」

今週はお仕事ウィークなのでお仕事する。
図版の追加や差し換えの依頼が入ったので
Windows8マシンを起動して……アップデートのために再起動しろというので再起動し、図版をキャプチャし直したり、ITMediaにGM1のレビュー書いたり(ただし下書きだけでダウンした)。
週末はメール案件が多いのであれこれと返事書いて回る。
夕方買い物に出たついでに稲荷神社でイチョウ。
これの360度パノラマはこちら→全天球画像 | RICOH THETA

お仕事ウィークで部屋に篭もっていると
ちょっとした息抜きに本を読みたくなる。

先日(11月25日)、堤清二氏が亡くなったとの報道を見て、
ふと、辻井喬と上野千鶴子の対談「ポスト消費社会のゆくえ」を読みたくなり、
Amazonへ行ったら古本しかなく、それを注文したのである。
なぜ古本しかないかな、なぜKindleにしてくれないかな。
まあいいんだけど。

わたしは大学へ通うために上京したのが1982年。
渋谷へ行くと、西武百貨店とPARCOがあった。
名古屋にはどっちもなかったので、ああ東京に来たなあ感が強かったのだけど、
ちょうど糸井重里の「おいしい生活」というコピーが出た年で、
なんかあざといなあと感じてたのだけど、
それはともかく、
PARCOが登場し、ブランドものがぐわっと流行り、バブルへ向かい始める頃に
上京してきたわけで、
まさに、セゾン・グループのピークだったのだ。


その頃はセゾングループの総帥(といっていいのか?)の堤清二という人に興味も何もなくて、ただ、西武グループの人だなあという程度だったのだけど、
この人、後になって調べるとすごく面白くて、
なにしろ政治家にして西武グループの創始者である堤康次郎の息子でありながら、
元共産党員で、元政治家秘書で、詩人で小説家で、
で、西武百貨店に入って実業家として名を為した人なのである。
辻井喬というペンネームで詩や小説を書く傍ら、
西武百貨店の社長として、
西武百貨店の渋谷進出を成功させ、
西友を立ち上げ、
PARCOを立ち上げ、
ファミリーマートを立ち上げ、
しまいには、無印良品まで立ち上げた人で、
PARCOでブランドもの全盛を後押ししながら
返す刀でそれを否定するような無印良品を作るっていう
セゾングループのあの時代の面白さはこの人ならではだったんだなと、
じゃあ、
資本主義の雄である堤清二と、元共産党員と、文芸家である辻井喬との間に矛盾はないのか、
てな話や、当時の百貨店から流通業界の話を
1950年代から2008年までを語るのが「ポスト消費社会のゆくえ」って
対談で、
上野千鶴子のツッコミが鋭くて容赦ない上に、
堤清二でもある辻井喬が辻井喬として堤清二を語るという形のおかげか妙にすっとぼけつつ可能な限りわかりやすく語ってくれて、
しかも百貨店、スーパー、専門店の集合体、コンビニと流通業界の激変を
全部見てきた(というかやってきた)人でありながら、
文化的な側面でもそれを見ているので、
実に面白いのだ。
たぶんこういう両方の視点で時代を語れる人ってそうはいない。
50年代からゼロ年代までを俯瞰しつつ
じゃあこれからどうなるのかどうしていけばいいのか
考えざるを得ないという、
希有な対談なのであった。
ああ、こういう本こそさっさとKindle化して欲しいわ。

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