2014/06/28

[Apple]Apertureの終焉と思い出

朝起きたら、
Aperture終了のニュースで持ち切り←っていうほどではないけど
アップルが公式に、ApertureとiPhotoの新規開発を中止すると発表したようなのだ。

AppleがiPhotoとApertureの開発を中止!その超前向きな理由とは - 週アスPLUS
Apple、プロ向け写真ソフト「Aperture」の開発を中止 - ITmedia PC USER
Apple、Apertureの開発を終了したことを明らかに、新しい写真アプリへの移行を推奨 | Apple Apps | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)


がーん。なんてこった。

まあ、iPhotoが終わるだろうという予感はあった。
WWDCで発表したOS X YosemiteのPhotos機能が
思い切りiPhotoとかぶるからである。

iPhotoは写真のレタッチやら出力やら何やら、写真を活用するアプリって側面が注目されるけど、
その本質は、フォルダやファイルという概念に縛られないで
写真を写真として管理でき、その場で自由にレタッチできること、
にある。
わたしのAperture

iPhoto登場以前は、
デジカメの写真を日付ごとにフォルダを切って保存し、
そこからブラウザ(今ならBridgeか)でサムネイルを見て
補正したいときはアプリで開いて(Photoshopとか)、
編集したものを上書き保存したら大変だから
別途フォルダを作って必要なサイズで保存し……
ってもうめんどくさくてやってらんない。

iPhoto登場後は
iPhotoで写真を吸い上げ、
iPhoto上で写真を閲覧して、
その場で写真を補正するけど保存作業は必要なく
(元写真は保ったまま、編集した結果を別途残してくれる)
元写真は維持されるので上書き保存でやらかす心配も無い。

つまり写真編集ソフトというよりは
写真向けの統合ソフトなわけだ。

Apertureはそのプロ版。
わたしは1.0からずーーーーーーーーーーーっと使ってきた。

Aperture登場直後、AdobeからLightroomが登場した。
3.0まではApertureの方が使い勝手も機能も上だったが、
Apertureが3.5で足踏みしてる間、
Lightroomは5.5に達し、
使い勝手は相変わらず悪いけど、
現像性能に関しては、Apertureを大幅に凌駕するようになった。

でもわたしがApertureを使い続けるのは、
「写真の管理・分類」が感覚的に行え、
そこからFacebookやFlickrやpicasaに公開するのが簡単だからだ。
今でも、現像性能・機能をアップデートさえすれば、
Apertureが最強のアプリである。


だがしかし、
多くのユーザーがiPhoneを使う現在、
iPhotoという別アプリにしておくよりは
基本的な写真管理をOSがちゃんとやる方が
ユーザー的には使い勝手はいい。
iOSがクラウドを本格的にサポートするとなると、
OS X側もそれに合わせた方が使い勝手はいい。

うまくすればOS X上でiPhotoやApertureのようにファイルをブラウズし、
そこから、現像ユニットを呼び出して編集し、
ひとつひとつの写真ファイルはパッケージ化されて
本体とレタッチ後の情報の両方を持つようになる、
的なことになるかもしれない。

で、そんな将来をみこしてYosemiteで統合化したい。
OSで統合化すると、
それらと、iPhotoやApertureのライブラリ管理の整合性をとるのが難しくなる。

アップルとしては最終的に、今の
「階層フォルダを使ったファイル管理」を変えていきたいと
考えてるんだと思う。
超好意的に考えたとして、これはその第一歩だ。

じゃあ、今わたしがApertureで管理してる何10万枚の写真を
一気に移行できるか、クラウドにRAWデータを大量に上げられるかというと、
それはしばらくは期待できそうになく、
当面どうしようかな、ってのが深い悩みごとである。

Apertureのライブラリは維持しつつ、
別途Lightroomを本格的に使うってのが現実的なんだろな。
またHDDを増設しなきゃ(泣)。

何しろ、全写真の管理をApretureでやってるのだ。

iPhotoやApertureがわたしにとってうれしいのは、
ascii.jpの猫連載を書くとき。
猫写真には全部タグがつけてあるので、
どのカメラでいつ撮った猫写真だろうが、
ばっと一覧で見られる。
猫連載のテーマを決めたら、それに合わせた写真を古いのまで含めてピックアップし、
ある程度選別したらアルバムを作り、レタッチして整え、
それを見ながら原稿を書きつつ、最終的に6枚くらいに落とし込むのである。

ascii.jpの猫連載作業中の図
ときどき「〜〜な写真ありませんか」といわれたとき
Aperture(古いものはiPhoto)のライブラリにまとまってると
年月日でフォルダ分けしたのに比べて遙かに必要な写真を探しやすい。

最近カメラを持って散歩するときが多いけど、
Apertureなら写真を吸い上げたのち、
GPSログを(iPhoneのアプリでログを取り、その場でDropboxに上げてるので、ほっとけばローカルのDropboxフォルダに落ちてきてるのだ)
読み込んでやれば位置情報もつく。これがすこぶる便利。


ApertureのRAW現像・レタッチ機能で足りないときは
Photoshopを呼び出し、RAW現像フィルタで現像してレタッチすれば済む。

レビューを書くときも数100枚撮った作例を見ながら
使うものをピックアップし、アルバムにまとめて
原稿を書く。

実は「タモリ倶楽部」に出演したときもApertureが大活躍した。

番組ではApertureらしいシーンはうつってないけど、
実はあれ、
・前日に、古道沿いで撮った写真を順番に並べたApertureライブラリを作り、
・それをMBAにコピーし
・収録前にディレクターと一緒に使う写真とスキャンした古地図のデータをピックアップしてラベルをつけ
・ラベルをつけた写真だけを表示するようにセッティングし、
・現場ではフルスクリーンモードにして写真をスライドショーで見せながら喋り
・タモリさんが突然「ここ、アップにできない?」といいだしたので、ルーペ機能をオンにして見せたらみんなで「おおおおっ」と盛り上がり、
・その後、なんどもルーペでディテールを表示しては盛り上がり
(このあたり、番組では割愛されてました)
・江川さんだったかが「そういえばこの辺にこういうのあったよね」といったのでその場でサムネイル表示に切り替えて、使う予定じゃなかった写真を引っ張り出して表示し、
という感じで、
MBAとAperture大活躍の回だったのだ。
タモリ倶楽部で使ったライブラリ。赤いラベルの写真を使った。
現場ではフルスクリーンで見せながらときどきルーペ使ったりした

ちなみに、普通は写真をあらかじめ制作会社にわたして
ADが裏で操作しながら写真を見るんだけど、
このときは時間がなかった(直前まで、屋外ロケの予定だった)のと
わたしがMacを操作しながらのプレゼンに慣れてることもあって
ディレクターの方が「荻窪さん、ご自分で操作しません?」って
ことになったのである。すげー。

そういう作業をより効率よくできるか、が課題なんだよな。
Lightroomでどのくらい快適に作業できるか。
個人的にLightroomは
プロジェクト単位で写真を管理するにはいいけど
日常的に大量に撮った写真を全部ぶちこんで管理するには
向かない操作系な気がしてるのだ。

まあヒドイはなしではありますが、
今から心配してもしょうがないので、
ヨセミテってから考えよう。

ともあれ、
Apertureが何年もバージョンアップしてないのは羞恥……もとい、周知の事実であったし、
個人的には他のプロ向けアプリがそうだったように、突然
「Aperture X」として復活しないかなと思ってたんだけど……
現状のApertureはメンテナンスモードにはいったといわざるをえない。

正直、
iPhotoはOSに統合されるだろうが、
Apertureは新OSに合わせたアップデートがなされると
甘い気持ちでいた。
Apertureの機能は一般ユーザーにはオーバースペックだからである。

ただ、アップルのことだから
Yosemite&iOS8をベースにした新しい写真管理を提示しつつ
さらにハイエンドなユーザーに向けて、
OSベースの写真管理の上にかぶせて使う
新コンセプトのApertureを出すかもしれないな、そうなるといいな、
と若干の期待はしつつ、
お疲れ様でした。

ああ、それにしても、いいソフトだったなあ>Aperture
日本はともかく、
米国にはAperture使ってる写真家も大勢いるだろうに
どうするんだろう。
どうにかしてください。

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